理想の彼女の育て方『日常生活から教えていこう』




由生「恋愛だっていきなりエッチな事からじゃマズイもんな。まずは会話が成り立たないと寂しいし……。ねぇ、亜姫は喋れるんだよね? 何か喋ってよ」
 由生が握っていた手に少しだけ力を込め、亜姫を見つめて話しかける。
亜姫「何を喋れば宜しいですか?」
 由生の言葉に答えるように、亜姫が感情の抑揚を感じられない声を発した。
由生「亜姫って、こんな声してたんだ。へぇー、口調が平坦でロボットっぽいけど、ちゃんと女の子らしい可愛い声してるんだね。凄いや」
 由生は亜姫の無機質な口調に失望した様子もなく、ただただ、その可愛らしい少女の音声に感激する。
亜姫「ありがとうございます」
 由生の言葉に亜姫の表情が微笑から、はにかんだものへと変わった。口調も第一声の無機質な状態よりも、幾ばくか感情が含まれているようなものとなる。
由生「ねぇ、そんなかしこまった感じで話さないでよ。俺ら彼氏と彼女になるんでしょ?」
亜姫「これからなるの? 亜姫は、もう、彼氏と彼女だと思ってたのにな」
 亜姫の表情と言葉が明らかに拗ねた感じとなり、由生と握っていた手を離して膝の上で握り締めた。
由生「あ、ゴメン。そっか、もう、付き合ってる事になるのか。会ったその日にお付き合いなんて、昔のお見合いから即結婚みたいで何か変な感じだな」
 由生は慌てて謝ると、感慨深げに自分達の関係を口にする。
亜姫「由生はイヤなの? 亜姫は由生の事が好きだから嬉しいのに」
 亜姫は由生に顔を近づけ、ムッとした顔で口をとがらせた。
由生「イヤ、そんな事ないって……亜姫の方が俺なんかでイイのかなって」
 由生が頭をポリポリと掻きながら、自信なさげに呟く。
亜姫「そんな事、言わないで。亜姫は由生の事が大好きだから、傍にいられるだけで嬉しいんだよ」
 亜姫は由生の言葉に、自信を持ってというようにニパッと笑った。
由生「何か、照れくさいな」
亜姫「由生ってば照れちゃって可愛い〜」
 頬を染めた由生に向かって亜姫が悪戯っぽく微笑み、からかうように腕に絡みつく。
 引っ張られるように掴まれた腕に、亜姫の柔らかな肉体が触れ、由生の緊張が一気に高まった。
由生「男に向かって可愛いなん……」
 強がろうとしてみるが、しなだれかかる亜姫に視線を下ろした由生は、それ以上の言葉を紡げなくなる。両腕を寄せた亜姫のサマードレスの胸元が浮き上がり、本来ならば生地に包まれているはずの胸の膨らみが覗けてしまったからだった。
亜姫「どうしたの由生? あ、もしかして見た?」
 由生の視線の先を追った亜姫は、自分の胸元の状態に気付いて慌てて胸を押さえる。
由生「いや、その、あの……ちょ、ちょっとだけ」
亜姫「どうだった?」
 胸を押さえた亜姫が、由生に上目遣いで尋ねた。
由生「ど、どうって?」
亜姫「由生に亜姫の胸、気に入って貰えたかなぁって」
 緊張でどもる由生をからかうように、亜姫の指が自分の胸の柔らかさを視覚させるようにグニッと揉みこむ。
由生「凄く、綺麗だと思ったよ」
 僅かな力で簡単にひしゃげる乳房に釘付けになりながら、由生は素直に亜姫の問いに答えた。
亜姫「ホント? 嬉しい」
 亜姫は綺麗と言われた喜びを全身で表すように、由生の首にギュッと抱きつく。
由生「あ、当たってるんだけど」
 密着する亜姫の肉体に、由生が緊張で声を上擦らせた。
亜姫「だって、当ててるんだもん」
 亜姫は由生の困惑ぶりを愉しむように、グニグニと膨らみを由生の身体へ押し当てる。肩に触れている柔らかで温かな塊に、由生の股間は徐々に熱く硬くなっていった。
由生「あんまりそんな事されると、色々したくなっちゃうから」
 必死に理性をかき集め、由生はベッドの端に逃げながら亜姫から離れようとする。
亜姫「亜姫は、由生がしたいなら、イイよ」
 しかし、亜姫の方は離れたくないらしく、ベッドの端へずれた由生を追いかけ、彼の目を見つめて少し妖艶に微笑んだ。
由生「イイの?」
亜姫「うん、由生のしたい事、して」
 頬を染めた亜姫は目を閉じ、由生の動きをジッと待つ。
由生「イヤだったら、いつでも言ってね」
 初期の亜姫は由生に逆らわないという事も忘れて、由生はいつでもやめるからと耳元に囁き、優しく彼女を抱きしめた。
由生「柔らかくて、イイ匂いがする。女の子の肌って、皆、こんな感じなのかな」
 亜姫の首筋に鼻先をつけた由生が、その感触にうっとりと呟く。
亜姫「亜姫の事を抱きしめてるのに、亜姫以外の女の子の事なんて考えちゃ駄目なんだからね」
 由生に抱きしめられるままになっていた亜姫が、突然、頬を膨らませて腕の中で身を捩った。
由生「そ、そうだよね。比べるなんて悪かったよ、ゴメン。……怒った?」
亜姫「うん、怒った」
 恐る恐る機嫌を窺ってくる由生に、亜姫が少し笑いながら怒りを口にする。
由生「どうしたら許してくれる?」
 亜姫がふざけて怒っているのだと気付いた由生は、彼女を抱きしめたまま尋ねる。
亜姫「うーん……えーと……、そうだ!キスしてくれたら許してあげる」
 しばし悩んだ亜姫は、ニッコリ笑って打開案を示した。
由生「キス?」
亜姫「そ、キス。三助さんも凛子さんも見てないんだから、今度こそ、唇にちゃんとしてよね」
 亜姫が唇を指差し、キスをねだるように目を閉じて口を尖らせる。
由生「う、うん。……ん? 今度こそ? さっきキスがどうのこうの言ってた時って、亜姫は起動してなかったんじゃないの?」
 由生は亜姫に誘われるまま、唇を寄せようとしたが言葉に引っかかりを感じてキスを思いとどまった。
亜姫「え? あ! ……えーと、まぁ、そんな細かい事はどうでもイイじゃない。キス、してくれないの?」
由生「え、……する。キス、するよ」
 釈然としないものを感じながらも、亜姫のおねだりするような上目遣いの視線に、由生は誤魔化されてしまう。
 それは本当にごく軽い唇同士の触れ合いだったけれど、確かに2人はキスを交わした。
亜姫「へへ、由生とキスしちゃった。嬉しいなぁ」
 由生に抱きついたまま離れようとしない亜姫の顔は、ニコニコとゆるみっぱなしである。
由生「……あ、あのさ。もっと、凄い事してもイイ?」
 無邪気に肉体を預けてくる亜姫の感触に辛抱がきかなくなったのか、由生が抱きしめる腕に力を込めた。
亜姫「もう、そんな風におっかなびっくり聞かないで、由生のしたい事してイイんだよ。だって、亜姫も由生と色々したいもん」
 甘えた声と仕草で、亜姫が由生の胸に顔を埋める。
由生「リボン、外すね……」
 緊張で震える手に苦戦しながら、由生は亜姫の腰の後ろに結ばれたリボンに手を掛けた。
 衣擦れの音を立てながら、リボンがスルリとほどかれる。
亜姫「ファスナーも、おろしてイイよ」
 亜姫が由生にギュッと抱きつく。由生は亜姫の背に手をまわして、ところどころ詰まりながらファスナーを下ろしきった。
 重力に逆らえないシルクが、亜姫のシミ一つない滑らかな肌を滑る。
由生「手、ちょっと上げてね」
 サマードレスがファサリとベッドに落ち、亜姫の上半身が露わになった。
 生地の白さとはまた別の温もりのある肌の白さと、柔らかで綺麗な曲線が由生の目に飛び込んでくる。
由生「恥ずかしい?」
亜姫「ちょっと……、でも、平気……」
 反射的に胸を覆った亜姫だったが、由生の声に腕を外してブラジャーに覆われる胸を曝した。
 レースをあしらったピンク色のブラジャーが、大きめの膨らみを窮屈そうに隠している。
由生「あれ? このブラ、肩ヒモ無いんだ。こういう形のがあるんだね」
 由生の手が確かめるように亜姫の肩に触れ、ストラップの無いブラジャーを不思議そうに見つめた。
亜姫「こういうの、初めて見るの?」
由生「こういうのどころか、女の子の下着なんて、見る機会ないし……」
 由生の目にした事のある下着といえば、エロ本やエロ画像の中くらいである。しかも、そういうモノを見る時は中身ばかりに集中して、下着がどういう形をしているとか、どんな色だとかは一瞬の飾りでしかなく気にした事はなかった。
亜姫「ね、由生はブラの外し方……、知ってる?」
由生「外し方?」
 首を横に振った由生に、亜姫が微笑む。
亜姫「後ろのホックを外して」 
 亜姫の手に導かれ、由生の指がブラジャーのホックに触れた。
由生「えっと……アレ? ……ああ、1つじゃないのか、これで外れたかな」
 由生は腕の中に亜姫を抱きしめた姿勢で、見えない場所のホックを外す。3つもある留め金に苦戦しつつも、遂にハラリとブラジャーがベッドに落ちた。
 亜姫の若々しく上向きの乳房は支えていたはずのブラを外しても、釣鐘型を崩さないハリを持っている。
 白く大きな乳房に導かれるように、由生の両手が亜姫の乳房に触れた。由生の手によって亜姫の桃色の乳首と乳輪は容易に覆い隠されるが、手のひらに余る膨らみが零れている。
亜姫「……んっ」
 柔らかさを確かめるように由生が指先に力を込めると、乳房は握力にまかせて大きく形をひしゃげさせた。
 由生の想像以上に、もっとずっと柔らかだった乳房には痛覚も作られているのか、亜姫が苦しげな声を上げる。
由生「ゴ、ゴメン。痛かった?」
 亜姫の様子に慌てて由生が手を離すと、乳房はプルンと揺れて元のように釣鐘型の膨らみへと戻った。
亜姫「大丈夫だから、もっと触って……」
 亜姫が由生の手を掴み、自ら胸の膨らみに導く。
由生「今度はもっと、優しく触るから」
 由生は、亜姫の乳房の形をなぞるように肌へと触れた。
 おっぱいの全体を撫でるような触れ方に、亜姫の息が少しずつ荒くなってくる。
由生「気持ちイイの?」
亜姫「分からない……でも、由生の触ってる所が熱いの」
 亜姫が潤んだ瞳で由生を見上げた。
由生「こっちも脱がすからね」
 由生の手が、まだ亜姫が腰にまとっていたサマードレスを床へと下ろす。ショーツだけになった亜姫は、由生の手によってベッドの上へ仰向けに寝かされた。
 ショーツはブラジャーと揃えてあったらしく、同じ柄のレースがあしらわれたピンク色である。しかし、半裸の亜姫の姿に興奮しきった由生には、下着を気にする余裕はなくなっていた。
亜姫「……由生は脱がないの?」
 自分だけが脱がされていくのが恥ずかしいのか、亜姫が由生の着ているTシャツを掴む。
由生「そうだね。俺も脱ぐよ」
 亜姫の言葉に由生が着ていたTシャツとジーンズを床へと脱ぎ捨てた。
 グレーの迷彩柄のボクサーパンツの中身は、亜姫に狙いを定めて硬く勃ち上がっている。
亜姫「ねぇ、抱いて」
 互いに上半身裸になった所で、亜姫が由生に向かって両手を差し出した。ベッドの上で膝立ちになっていた由生は、亜姫から伸ばされた手に応えるように肌を合わせる。
 亜姫に覆いかぶさった由生は、しばらく亜姫の体温と柔らかさを全身で感じていた。
由生「これ、脱がせるよ」
亜姫「……うん」
 由生の手が亜姫のショーツにかかる。由生が脱がしやすいように、亜姫は軽く腰を上げた。
 覆うものの無くなった亜姫のデルタには、うっすらと淡い陰毛が生えている。軽く開かれた足の間でピッタリと陰唇は閉じていた。
亜姫「由生、そんなに見ないで。亜姫、恥ずかしいよ」
 亜姫は足を閉じようとするが、膝の間に由生の足があるために閉じられず恥ずかしそうに全身を朱に染める。
由生「見ちゃ駄目?」
亜姫「見たいの……?」
由生「うん」
亜姫「……由生が、どうしてもって、言うなら……」
 亜姫は膝をたて、由生が見やすいように脚を開いた。
由生「中も、見せてね……」
 由生の指が亜姫のスリットを割り開く。
亜姫「っぁ……息が、くすぐったい……」
 亜姫は由生の息遣いを粘膜に感じて、小さく声をあげた。
由生「こんな風になってるんだ。きっと、ここがヴァギナなんだろうけど……こんな風に閉じてて、本当に入るのかな」
 排泄口を模した上下の孔の間、肉に包み隠された奥に、穴というよりも小さな切れ目のようでしかない場所を見つけて由生がそれをマジマジと観察する。
 自分の欲望を受け入れられるとは思えないような小さなソコに、由生が恐る恐る中指の腹を押し当てた。
亜姫「ひぁっ……」
 押し当てた指は亜姫の中へと簡単に飲み込まれる。けれど、中は酷く狭く容易には先へ進めなかった。
由生「凄く熱くて、ぬめってる……」
 挿し込んだとは言えないほど浅い触れ方であったが、スリットから離れた指先は確かに亜姫の蜜で潤っている。
 指先だけで味わった女体は、由生を受け止めるために狭いながらも確かに準備を整えていた。
亜姫「ねぇ、由生。あんまりそんなに観察しないで……おかしくなりそう。お願い……」
 赤く染まった頬で、涙目になりながら亜姫の右手が弱々しく由生の腕を掴む。
由生「分かった。見るのはやめる……でも、入れたい」
亜姫「……イイよ。亜姫も由生と一つになりたいから」
 亜姫の左手がおずおずと、由生の股間の高まりに触れた。
 由生はゾクゾクとした快感に身をブルリと震わせた後、もどかしげにパンツを脱ぎ捨て、全裸になる。
由生「じゃ、入れるからね」
 亜姫の肉体を引き寄せ、膝裏に手を入れる。由生の亀頭がクチュリと音を立てて亜姫のスリットに触れた。
亜姫「うぅっ……」
 亜姫が小さく呻き、肉体を強張らせる。まだ先端を埋めただけの由生は、亜姫の声に慌てて腰を止めた。
由生「あ、亜姫。大丈夫?」
 由生は、表情を歪ませた亜姫の様子を心配そうに窺う。
亜姫「平気……。さっき胸を揉まれた時よりも138倍くらい凄い感じだけど、耐えられるし……。きっと、コレが……痛いって事なんだね」
 じんわりと涙を滲ませながら、亜姫が由生を見つめ返した。
由生「痛いなら、止めた方が……」
 ペニスを抜こうと腰を引こうとするが、亜姫は逆に自ら押し込むように由生の腰に手をまわす。
亜姫「問題ないわ。由生は気にせず続けて。亜姫の痛覚なんて、ただのプログラムだもの……由生、ここまできて途中で止まるなんて無理でしょ?」
 無理やりに微笑んで亜姫が先を促した。
由生「プログラムなんて言うなよ。亜姫が痛いと感じたなら、やっぱりそれは痛みだと思うしさ」
 額に脂汗まで浮かべている亜姫の姿に、由生がアンドロイドの彼女を気遣う。
亜姫「由生、優しいんだね。亜姫なら大丈夫。女の子の初めては、皆、こんな風に痛みを乗り越えるものだってインプットされてるし……。それにね、亜姫は由生と、もっと一つになりたいの」
由生「なるべく、すぐに終わるようにするから、ちょっとだけ我慢してね」
 必死にしがみつかれ、ここまで言ってくれる亜姫の好意を無下に扱う訳にもいかないと、由生は彼女を抱きしめながら腰を押し進めた。
亜姫「っんぅ……ひぁ、あっ……っう……ぁ……」
 奥まで押し込まれた肉棒。膣の中を何度も擦り上げこじ開けていく感触に、亜姫が嗚咽を漏らしながら耐える。
由生「亜姫、もう、ちょっとだから……」
 亜姫の膣は柔らかく、温かく、そして狭く、由生を締め付けた。
 それはとても気持ち良くて、経験の無い由生には長く保たせるなど出来るものではない。
亜姫「うん…由生、来て…」
 あっという間に訪れた最後の呼びかけに、亜姫がキュッと目を閉じた。
由生「亜姫……イクよ……っ!」
 亜姫を抱きしめながら、由生が果てる。
 自分の中で脈打つ由生に涙の浮かんだ顔のまま、亜姫が微笑んだ。

 両親のニヤニヤ笑いを背に受けつつ、バスールームから部屋へと戻った由生は溜息をついた。
由生「あんな事するつもりじゃなかったのにな……」
 まだ濡れている亜姫の髪をバスタオルで拭きながら、由生が落ち込んだ声で呟く。
亜姫「あんな事って?」
 ベッドに腰掛け、されるがままに任せていた亜姫が、由生の声音に心配そうに尋ねた。
由生「ん? いや、本当はいきなりエッチなんて……って、思ってたはずなのに、最後までした上に、さっきも風呂場で、色々しちゃっただろ……」
 細い髪が絡まないように拭い終えた由生は亜姫の隣に座って、少し言い辛そうに困った顔になる。
亜姫「由生は本当は亜姫としたくなかったの?」
由生「そうじゃなくて、もっと亜姫の事を大事にしたかったんだよ。それなのに、初日からエッチしちゃって悪かったなぁ……ってさ」
 亜姫のしょんぼりとした顔に、慌てて由生が自分の言葉をフォローした。
亜姫「大事にしてくれるのも嬉しいけど、亜姫は由生と一緒になれたのも嬉しかったから、悪いと思わなかったんだけどなぁ。それにお風呂場ではエッチも痛くなくて気持ち良くなってきたし、亜姫は由生とだったらいつでもエッチしたいと思ってるよ……。由生は、もしかして、もう、したくないの?」
 適当な寝間着がないため、ぶかぶかの由生のパジャマを着ている亜姫の胸元は、ブラを着けていたサマードレス以上に危うい服装である。そんな彼女が由生の腕に絡み、エッチしたいと思ってると甘えてくるのだ。
 セックスを覚えたての由生としてはたまらない状況である。
由生「まさか! もっとしたいよ。ってか、今すぐにでもしたいくらい」
亜姫「今すぐ? 由生ったら……でも、したいなら、……する?」
 思わず正直に答える由生に、亜姫が顔をほころばせた。
由生「うん。……いや、ううん、イイよ。また今度しよう。今日は、もう寝よう」
 亜姫の問い掛けに間髪入れずに頷いた由生だったが、すぐに首を振って考えを改める。
亜姫「イイの? したかったら、もっとしてイイんだよ?」
由生「これからずっと一緒なんだから、慌てて一杯しなくたって、いつでも出来るし」
 小首を傾げる亜姫に微笑み、由生は彼女をベッドの奥へ寝かせた。
亜姫「へへ、由生と亜姫はこれからずっと一緒なんだね。何か凄い嬉しい。こういうのって幸せって言うのかな」
 2人で寝るには少し狭いベッドに並んで、亜姫は隣の由生の手を握る。
由生「……そうかもね。俺も、亜姫と一緒にいられると思うと幸せだよ。じゃ、オヤスミ」
 由生が部屋の明かりを消し、タオルケットを身体にかける。
亜姫「オヤスミ、また明日ね」
 亜姫の寝息を聞いてから、由生も誕生日の夜の眠りに就いた。